子どもが自分からワクワクして指示に従う。
内発的な行動を促すには「言葉の選び方」が大事です。
例えば、1年生に、今していることをやめさせてこちらを向かせるには、「きれいな目をこちらに見せてください」は有効です。
子どもの内発的な行動を促す言葉の選び方
では、なぜ、有効なのでしょうか。
「こちらを向きなさい」という指示は,実にスッキリしています。
しかし,こんなにはっきりした指示でも,1年生の中には反応できない子どももいます。
まだ教科書の絵を見るのに夢中になっていたり,書き終わっていなくてまだ書いていたかったり,そのような行動に折り合いをつけて,さっとやめて教師の方を向く。これがなかなかできません。
「こちらを向け」というのは,教師の勝手であって,子どもにとってみれば,「なんで,今楽しいことをしているのにそれを中断させるんだ。邪魔しないでくれ」と言いたいでしょう。それはそれなりに分がありそうです。
しかし,授業の流れの中で,次の指示を与えて先に進まなければなりませんから,教師はこちらを向いてない子どもを注意したり叱ったりするのです。
「こちらを向きなさいって言ったでしょう」とか「こっちを向くまでじっと待ってるよ」とか,そんなことを言って。
では,「きれいな目を私に見せてください」と言ったらどうでしょう。
「こちらを向きなさい」とは明確に違いますよね。
「先生がわたしのきれいな目を見たがってる。みせてあげたい!」という内発的動機による行動になります。
同じ「こちらをむく」という行動ですが,外発的であるか内発的であるかという違いが出てきます。
子どもをこちらに向かせたい時、「こちらを向きなさい」というか、「きれいな目を私に見せてください」というか。
私は,どちらかというと,子どもの内発的な動機による行動を促したいと思っているのです。
「筆がいたがっているね。」
絵の具の筆遣いの指導をするとき,「筆を紙に押し付けて書いてはいけません」というか,「筆が痛がっているね。」というか。
廊下をぺちゃくちゃしゃべりながら歩いている子どもに,「静かに歩きなさい」というか「しゃべっていることに気づいているかな?」というか。
このような言葉の選び方は、教師のキモチ次第であらゆる場で探すことができます。
そして、そのことはやりがいがあるものです。
子どもに直球でビシッとわかりやすく指示を出すことはとても大切なことです。
そして、同時に、より子どもをワクワクさせる指示も大事にしてきました。
日々,そのような指示を考え,見直すことができるのが,教師としてのやりがいであり,楽しさだなあと思います。