教育論

20年前より確実に落ちている力〜Lyustyleの教育論7

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 長年美術教育に携わって来た経験から、様々な絵画展の審査に呼んでいただくことがあります。

 90年代の最初くらいからですから、かれこれ25、6年になります。

 先日、とある絵画展の高学年の子ども達の絵を審査していたとき、一緒に審査していた方から、「この絵は緻密でコツコツと誠実に描いてますね。じっくり描いているのでしょう。色づかいも筆使いも素晴らしい」と言って一枚の絵を見せられました。

 確かに言われる通り、よく描いたなぁと思える素晴らしい絵でした。

 しかし、すぐに思い出します。

 20年前は、高学年になるとこのくらいの絵はゴロゴロ出ていたのです。

 それが,今ではたまにそんな絵が出てくると感嘆してしまう。

 確実に子どもの絵の表現力は落ちています。

 授業時数がどんどん増やされ、子どもの心に余裕がなくなって,汲々とした中で、確かに算数と国語の力は伸びてきました。

 しかし、それら知的活動を支える土台であるはずの表現力、それ以前の表現に向き合う力が落ちてきているのです。

 50%ほどでやめている絵があまりにも多い。時間がないからです。じっくりと表現することに向かい合えないのです。

 ブラッシュアップにより質を上げていくという経験もなかなかできず、「できた。もうこれでいい」で終わることを余儀なくされる子ども達。

 時間数が足りなくて、パレットの使い方や筆づかいなどの基本的技術も十分に教えてもらえないまま、書きなぐっています。

 作り出す喜びなど感じられず、

 聞こえるのは子どもの悲鳴です。

 じっくりと没入して絵を描く。ここから喜びが生まれ、その繰り返しで、表現力が高まります。その先にあるのが「情操が豊かになること」なのです。

 情操が豊かであることと、知的な好奇心は車の両輪。それがバランスです。

 今、これがうまく働かなくなっています。

 「ゆとり教育」というのは、本来このようなことをじっくりとできるために始まったのですが、「円周率を3と教えるらしい」というような誤解をされてしまい、揺り戻しが来て子どもは前よりもっとひどい窮屈の中に置かれてしまいました。

 来年度施行される次の指導要領からは、英語が始まり、またまた週の時数が増えます。

 子どもたちの学力は高まるのでしょうか。

 それとも落ちていくのでしょうか。







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