外で遊ぶ授業から帰ってきた小学1年生,熱中症でなくなるといういたましい事故がおこりました。
まずは,亡くなられたお子さんのご冥福をお祈りいたします。
予防要素
この事故にはいくつかの予防要素がありました。
一つ目は,10時に学校を出てから帰ってくるまで90分もかけているということです。
炎天下の中で遊ぶ時間が45分だったそうですから,明らかにここは長すぎると思います。
頻繁に影のある場所に退避させながら,ということをしても,暑くなった子どもの体を十分に冷やすことはできません。
二つ目は,行くときからその子どもは,「きつい」と訴えていたということです。
これは,明確に子どもが不調を訴えているのですから,その時間,保健室等で休ませておくなどの対応が必要でした。
三つ目に,帰ってきてから,子どもを十分に冷やす場所にいかせていないということです。
最後の子どもが返ってくるまで,校庭でまっていた,ということも聞いていますが,帰ってきた子からどんどん涼しい場所に避難させるべきでした。
私たちは,後追いでは何とでも言えます。その時その現場にいる人は,このような状況の判断ができるか,そしてできたとしてもそれを変更する勇気やそれを許す状況にあるのかといったことは考えなければなりません。
しかし,その上で,私たちは,このようなことが起こるたびに,後追いであっても,再発防止のためにこのような予防要素を考えておく必要があると思います。
熱中症についての理解をもっと進め,
たとえば,
終業式や始業式をあえて体育館で行わない。
とか
昼休みに子どもが外で元気に遊んでいても,早めに教室に入れて,体を冷やさせる。
とか
活動時間を縮める,もしくは中止する。
とか,そういった,これまでにはあまり考えられなかったことを思い切って行う必要が出てきたと思います。
特にこれから注意しなければならないこととして,下校時の熱中症があります。
子どもが帰る時刻は,低学年なら一日のうちで一番暑い時間帯です。
その中を,場合によっては30分近くも歩いて帰る子どもがいます。
もしかしたら,水筒の水は全部飲んでしまって途中での水分補給ができないかもしれません。
また,エアコンのない教室の場合,一日の勉強の中でかなり体が熱くなっており,熱中症一歩手前の段階まできているかもしれません。
そこで,教師は次のことに気を付ける必要があります。
下校時に教師が気をつけること
◯ 一日の生活の中で,気分が悪くなって保健室にいって休んだことのある子はいないか。
その子は,まだ十分になおっていないかもしれません。冷たいタオルを持たせるなど,体を冷やす対策をして帰すなどの必要があります。
その場合,かならず家に連絡をとります。場合によっては迎えに来てもらいます。
◯ 水筒の水はまだ残っているか。
残っていない場合,補給してあげましょう。
途中で日陰などに入って一休みし,水分を補給しながら帰るよう,指導するのです。
◯ 気になる子は,いっしょに帰る友達がいるかどうかたしかめる。
気になる子がいたら,その子と一緒に帰る子供がいるかどうか確かめていっしょに帰らせます。
一人では帰らせられないと判断したら,
お迎えにきてもらうよう連絡したり,
場合によっては,教師が家まで送ったりといったことが必要になるでしょう。
上にあげたことは一例ですが,これまでのように,下校させたら一安心,というような時代ではなくなります。
登下校中は学校の管理下扱いですから,無事に帰るまでの対策は当然とっておく必要があるでしょう。
エアコンの設置率もまだ十分ではないということです。
今後,義務教育学校では,エアコンは熱中症対策として必要不可欠な要件になることでしょう。
財政的に余裕のない自治体には,国が補助するなど,国の施策として行う必要も考えられます。
二度と,このようなことがおこらないように。