来年度から始まるプログラミング教育に関して、現場ではおおかた二つの意識に分かれます。
「プログラミング教育って、自分はプログラミングなんてできない。いったいどうやっておしえたらいいんだ」とやたらと心配する人。
「プログラミング教育?あ、来年度から?委員会が何かしてくれるでしょ」と意に介さない人。
だいたいどっちかじゃないかなと思いますがいかがでしょうか。
私自身は、意に介さないことはないけれども、なにがしかのことをやってくれるんじゃないかな、と思うのんきな方に属する人間なものですから、もうちょっと主体的にならないといけないなあと思って、書店の棚に並んでいたうちから一番四見やすそうなこの本を選んできた次第です。
ぱらぱらと一読した上で学んだことを書き残しておきたいと思います。
■プログラミング教育の目標は、プログラミングを覚えることではない
プログラミング教育の目標は,プログラミング的思考を育成することである。
これは何度も言われてきたことですが、現場レベルでは、やはり未だにプログラミングを教えることだと思っている人がいます。
また「プログラミング」という教科ができるんだと思っている人もいます。
現場最前線では,教育思潮が,教育の動向がどうのこうのより,明日の授業の準備だけで一日終わってしまうので,何がどのように進んでいるのかなどなかなか俯瞰する余裕がないからです。
ですから,この本のように、「そうじゃないんだよ」というところから図解で丁寧に説いてくれる本はありがたいなと思います。
本の構成は、以上のようなことについて見開き2ページでひとつずつ扱っていますので、どこから開いてもさっとよめます。
特に、「プログラミング教育をすると、どんなよい未来が待っているんだ?」ということをさまざまな見地からといてくれますので、プログラミング学習やろう!!というモチベーションが生まれますね。
■正しい理解
その後の章で、指導要領などの意味、実際の授業の例などが1章を割いて述べられます。
「どのような教科でどのような授業をするかは教員に一任」というページでは、具体的な指導基準がないことが説明されています。
「実際にどの教科でどのような授業をするか、ということについては、各学校や教員の裁量に任されている」
という記述がありますが、多くの教師が心配しているところがまさにここですよね。
教師の裁量に任されるということは、教師の力量により子供の学びが左右されるということです。
これは、総合的な学習創設の時にも感じましたが、教師の受け取り方によって大きく差が出るところですので、学校規模での入念なカリキュラム作成が望まれるところです。
具体的には、教育計画を作成する時に、どのようにプログラミング教育の視点を入れ込むかということですね。
そして、それがいかに実施されていくかをみとる仕組みづくりが望まれると思います。
そうでないと、学校間格差が如実に出てしまいます。
■家庭でできるプログラミング
国語や算数と同じような基礎能力として重視されるようになっていく時代ですから、国語や算数と同じように、家庭学習の中に位置付けることも励行されるようになるかもしれません。
現場の教師には、まだそこまでの認識はないと思いますが、保護者の方は、すでに受け入れ準備を始めているということですね。
我が子のプログラミング的思考をみにつけさせるために、家庭では何をするかが考えられ始めているということです。
■プログラミング教育の現場と未来
国内では、ICT人材が不足しているという状況だそうです。
特に情報通信関連の人材が不足しており、このことが日本社会にとって今後深刻な課題になっていくことが懸念されています。
ICTとえいばプログラマーやエンジニアだけでなく、、あらゆる産業で必要とされていく時代。
人材育成がのぞまれます。
国が推し進める意味を現場として正しく受け止め、未来をみすえる遠い目を持って、現場での1時間、1時間を行なっていくことが大事だなと改めて思います。
でも、同時に必要なのが、教える側の人材育成です。
こういうと、かならず「研修」という言葉が出てきます。
これは安易です。
今、明日の授業の準備の時間もない中でさらに研修。
研修というふた文字を施しさえすれば、あとは現場の努力でなんとかやって。
これをやめてほしい。
現場の人材育成は、これからの人にしっかりやってもらい、すでに最前線の現場には人をおかないと、国が本当に思っていることの実現は難しいでしょう。
現場丸投げえでは絵に描いた餅です。
お金をかけないと、現場の努力任せでは、たちいきません。
そんなことを考えました。
プログラミング教育の意義、内容、方法をさっとつかむことができる本です。まさに現場の最前線で,少ない時間で悪戦苦闘している私たちにお勧めの本だと思います。